不知火 幻庵 ROOM
銀行裏事情
| うっとうしかった梅雨も明け、世間じゃ夏休みだなんだと子供たちが騒ぐ。それを取材したマスコミが一緒になって騒ぐから、すっかりバカ騒ぎと化している。うだるような暑さはいただけないが、薄着の女性が増えるという楽しみな季節でもある。更に急な夕立でその薄着が濡れるとなおよい。ちょっとどうかな、という女性まで妙に艶っぽく見えるだろう? あの瞬間が好きなんだ。そんな単純なことが夏という季節が嫌いではない理由になっている。 俺? 東 寛二(あずま かんじ)。某地方銀行で融資係をしている。この銀行に入って、まだ5年ほどしか経っていない27歳だ。なんだかエラそうな口調だが、人と話すときは敬語も使うし、謙譲語も使う。よく間違えるけど。人前では「俺」なんて絶対に言わない。あくまで「僕」だ。そう、人前では自分の正体を見せないように努めている。みんなそうだ。自分にウソをつきながら生きている。これを読んでいる君もきっとそのはず。人には言えない野望・願望・欲望を持っているのだ。 あの女もそうだった。最初はテキパキと仕事をこなす、マジメな女性だと思っていたんだ。今では俺たちはお互いの内面を知っている。そのギャップが面白くて仕事中にたまに目が合うとこっそりと笑ってしまうんだ。 『東くん』 あれっ、誰かが呼んでいる。あの声は真由美だな。すかさず返事をする。「はい、何ですか?」『東くん、悪いんだけどちょっと教えてくれないかな』と彼女。机の上に広げていた書類を片付けてから彼女の席に向かう。「なんですか、小林さん」と俺。『うん、カードローンの解約の仕方のことなんだけど』・・・なんだ、仕事のことか。質問に答えながら彼女の方を見ても、彼女は端末から目を離さない。一通り説明を終えると、『うん、わかった。ありがとう』と一言。つまらないな。あとで見てろよ、と思いつつ自分の席に戻った。 彼女の名前は「小林 真由美(こばやし まゆみ)」。1つだけ年上の28歳。大きい二重の目が可愛い女子行員だ。年上をつかまえて「可愛い」というのも違和感を感じるかもしれないが、他に表現のしようがない。もっとも一言で「可愛い」と言ってもいろんな意味があるんだけどね。彼女はショートカットなのだがよく似合っている。俺はロングが好きなんだが、あまりこだわる方でもない。要は似合うか否かだ。 さて、その真由美と俺とが親しくなってから一ヶ月半ほどが過ぎた。俺たち二人が親密になった経緯は別の機会があれば話すことにする。とにかく、ふとしたきっかけで接近したんだ。そのときに肌を重ねたわけなのだが、最初はお互いの性癖がわからなかったから、普通のセックスをしていた。あるとき、俺が射精する瞬間に彼女からナニを引き抜いたところ、ザーメンの勢いがあり過ぎて体をはじめ、顔の方までかかってしまった。そのときだ。彼女が口元に妖しい微笑みを浮かべた。初めはセックスに満足してくれたんだと思った。しかし、妙に艶かしい動作で顔にかかったザーメンを指で少しだけすくい取る動作を見た瞬間に俺は気付いた。そして残り汁のついた俺のナニを彼女の顔に近付ける。しばらく俺のナニを見つめていた彼女は、一度俺の方を見てから、そしてゆっくりと口に含んだのだった。 あれ、真由美が席を外そうとしている。その様子に気付いた俺が彼女の方を見ると、ちょうど彼女もこちらを見たのでお互いの目が合った。いや、視線が絡み合ったと言うべきか。今の時間は・・・お、2時か。じゃあ、俺も食堂に行くとしよう。上司に食事を取ることを告げ、2階にある食堂に向かう。銀行では11時過ぎに弁当が来てから交代で食事を取るが、この時間になると他の行員はすでに終えているはずだ。そうだとすれば、今食堂にいるのは・・・やはり彼女、真由美一人だった。 |